小松弘子のブログ

やさしいエッセー

神戸・三宮の街 大改造が延期

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 先日、購読している新聞で、「三宮周辺の整備事業が、一旦延期」 になるという記事を読んだ。近い将来、街全体が大きく劇的に変ると期待したのに残念に思った。

 今年一年は何と言ってもコロナ問題で、世界全体の経済の先行きが不透明になってしまった。それ以降も、ますます海外の景気が悪くなった。

 思い起こせば三年位前に 「三宮周辺の構造改革」 と、いうような記事があった。その時、私は驚く共に、新しい時代の到来を単純に喜んだ。

 自分達の身近な街が、もっと美しくかつ近代的に変わるという夢が膨らんだ…。 ひょっとすると第二の東京のような街に、変貌できるのだろうか? 本当のところ衝撃的な嬉しいニュースであった。

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 何回も新聞記事を眺め、十年後の三ノ宮の街を想像するだけで、正直ワクワクした。夢の懸け橋と呼ばれた「明石海峡大橋」 の時のように…。

 あの大事業も橋の着工まで、二十年という長い時間を費やしたらしい。そして着工後、見事に橋は完成した。四国と近畿圏への利便性が功を奏し、莫大な経済効果がもたらされた。

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 さて、今度の三宮の都市再開発はどういった効果がもたらされるのだろう? 

二十五年前の大震災で受けた被害が、ようやく復興したものの、人口は減り続けている。近代的なビルの建設や、三ノ宮駅周辺だけを整備するだけで、人が多く集まるのだろうか? 

 三年前のある時、エッセイ教室仲間のUさん達と、お茶会をした帰り道だった。

「いよいよこの見慣れた三ノ宮近辺のビルの灯も、少しずつ消えていき、何だか名残り惜しいなあ。そして十年位経ったら、きっと昔の景観など忘れ去られているだろうなあ」

 と、言ったことがあった。

「まあ、どのように変化してゆくのか、よく分からないですが、時代の流れは止められないですものね」 

 私はそう答えたが事実だと思った。

「街が綺麗になるのは嬉しいわ。でも昔の三ノ宮界隈を愛した人には複雑な気持ちかもね」

と、Uさんの顔を見た。

「ウーン、そりゃ淋しくなるねえ。このビルも数年後になくなるだろうし、面影も消える。今のうちにしっかり見ておいた方がいいよ」

 そういえば現在、工事から三年が経ち、あちらこちらのビルが解体され、新しいビルが何棟か見えだした。

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 ある日、息子が三ノ宮駅まで行くというので、車に便乗させてもらった。わざと地道を走り、神戸駅、元町、三ノ宮駅までの街をじっくり車窓から眺めることにした。大好きな神戸の街を、少しでも多く記憶に留めておきたいと思ったからだ。

 それから何度か街を往復した。しかしながら、以前と同じイメージの風景しか映らない。もう三年も経とうというのに全く街が変わっていないように感じる。何か嬉しくもあり、淋しくもあり不思議な気持ちだった。

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JR大阪駅前ビル

 大阪の駅前は、あれだけ激変したのに神戸は相変わらず変わらないなあ。

でも、山と海に囲まれた異国情緒あふれる港町はそれでいて、とても魅力的なのだが。

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JR三ノ宮駅前ビルは解体され更地のまま

 さて、神戸の玄関口であるJR三ノ宮駅ビルの跡地は更地になっていてポカンと穴が空いたままだ。当面は広場としてイベントなどに開放されるようだが、再開発の目玉だった建物が延期になるのは誤算だったに違いない。

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阪急電車 神戸三宮駅前のビル

 一方で、阪急神戸三宮駅前のビルは完成し、唯一その姿を誇っているように見える。

 今日も年末の日曜日だというのに、コロナの影響か行き交う人達の表情は難く、足早で通り過ぎてゆくばかり…。

 三ノ宮駅前の更地を囲む工事用フェンスには将来に誕生するであろう三宮の未来絵図が描かれている。

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 ともかく今思うことは、神戸の街全体が明るい快活な日常に戻ってほしいと願うばかりである。

 

2020/12/16 #93