小松弘子のブログ

やさしいエッセー

その後の家庭菜園はどうなった

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四月から始めたプランター栽培の野菜の苗は、少しずつ順調に育った方だと思う。内でも八月迄にトマトやキュウリとオクラ・大葉は、毎日のように食卓を飾った。こんな収穫は今までに初めてで、予想以上の成果をあげることができ嬉しい。

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夏野菜の収穫は日々大きな楽しみをもたらしてくれた。朝晩の水やりと手入れなど、苦労が多かった分、色々と勉強になったことなど感慨無量だ。

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今夏は例年に比べて、新しいタイプの野菜の苗を幾つか増やし、観察してみた。

この間に三度くらい、近くに住む孫達が遊びに来る時があった。

「おばあちゃんの作ったキュウリやトマトは、僕の家の物より大きくて美味しいよ!」 

 と、御世辞でも言ってくれたことが、本当に嬉しくて励みになったと思っている。

「お母さん、ちょっと見て! ここに私の好きなバジルとミントも植えてあるわ。おばあちゃん凄いね」

 女の子の孫の喜ぶ顔を見て、

「アラッツ、バジルが好きだなんて知らなかったわ。ユーチューブで野菜の横に一緒に植えると、楽しみが増えるよと言っていたので、挑戦してみたのよ」 

「ふーん、そういうことだったの? 私ね、お肉と一緒に食べるのが大好きなの。ピザを作った時もとても美味しいのよ」

「今度、おばあちゃんも真似しようかな」

「うん、私のところにはどちらも今年は植えていないので、もらって帰っても良いかなあ?」

「もちろんよ、来年も忘れずに作るからね」

「ねえ、お母さん、もらっても良い?」

 と、一緒に来た次男夫婦に了解を得ていた。

「わあ、嬉しい、じゃあ、少しだけ頂戴ね」 

と、遠慮しながら摘んでいる姿が、とても可愛らしく微笑ましいと思った。

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思えば数カ月前、掘り込み車庫の上に、小型のプランター十個位を設置して栽培を始めた。大きなプランターだともっと良質の野菜が育つことは間違いないが、自分には重たくて手におえない。

しかしながら二カ月を過ぎた頃から、段々と欲が出始めた。もっといろいろな苗を育ててみたい…。休日になると息子達とホームセンターへ通った。やはりプロの様に立派には育てるためには、大きなプランターが必要不可欠なことが分かった。

「茄子やオクラや中型トマトとネギ」 は、収穫の期間が長いので、大型プランターが最適だ。それに付随して土と肥料も、大量に買わなければならない。

「エエッツ、また重たいのに土を買うの? キリがないよ。いい加減にしたらどう。自分で作るよりスーパーの野菜を買う方が絶対安いよ!」

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 息子達との問答に、少しうんざりしたが、その理屈に正直納得する時もあった。しかしながら、今さら後に引けなかった。

「ごめんなさい。今年だけは特別に試してみたいの。」

「ふーん、自由にしたら」

 と、言いながらも最後には理解して、協力してくれた。

さて、苗の成長ぶりはといえば、多めに肥料を施したので、予想以上に大きく成長してくれた。今回はハーブなどを、野菜のそばに植えてみた結果、害虫の被害がなくて本当に助かった。またバジルやペパーミントの香りが、随分長く楽しめ良かった。

 また園芸好きのグランドゴルフの友人から、

「あなたも良かったらゴーヤを植えてみない? 私はあまり食べないのだけれど、今夏は窓に植えてみようと思っているのよ」 

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と、親切に薦めてくれたので、遠慮なく苗をもらった。さっそく家の窓際に五本植えてみた。追加で買った苗は芳しくなかった。なぜだろう? 今も不思議だ。もちろんもらった苗は元気に育ち、時々友人に成長ぶりを報告するのが楽しみだった。後に分かったことだが、苗が三十センチの時に、柵と網を貼ったお陰で 「ゴーヤ」 の、ツルが順調に伸びたと思う。

三か月位で立派な 「ゴーヤの緑のカーテン」 が、堂々と完成したのだ。

「わあー、素敵なカーテンに変身したわ!」

 葉っぱをよく観察すると小さな黄色の花が一杯咲いて、所々に 「ゴーヤ」 の実がぶら下がっていた。部屋の窓から、いつもと違う涼しい風を感じた。とても良い香りだった。

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 ある日、ゆったりとガラス越しにの 「ゴーヤのカーテン」 を見た。ふと今のピンク系のカーテンよりも、寒色系の方が似合いそうだと感じた。さっそく近くの 「ニトリ」 に行き、水色系の花柄のカーテンを買った。

 次の日の夜にカーテンを吊る作業を開始した。ところがどっこい、歳のせいなのか簡単にいかない。とにかく上を向いての作業は、思った以上に大変だった。四苦八苦の末、何とか完了したものの、幾度か床に落ちそうになった。

 あくる朝、躊躇したが、そのことを息子に話した。

「もうー。また要らんことをして、夜中に骨折でもしたらどうするのよ。今まで使っているカーテンで充分と違うの?」 

 いかにも不機嫌な様子だったが、

「だってね、コロナ禍のせいで、ちょっとでも気分転換したかったのよ。出費になるけれど主婦にとって部屋の模様替えは、生活の張りになるものなのよ」

「まあ、この時期その気持ちは分かるけれど、怪我だけはしないでよ!」

 しばらくして、そっと部屋を覗いた長男が呟いた。

「ウーン、涼しくて、なかなか良い感じになったなあ」

その後、野菜と花たちも、期待を裏切らずに成長してくれた。また種から育てた 「ひまわり」 が、二日前にやっとのこと一輪、大きく綺麗に咲いたのだ。

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 思えば四月初めから八月の四カ月間、大げさだが悪戦苦闘したかもしれなかった。しかしながら、短期間の植物の成長の過程だったが、多くを学び同時に楽しませてもらった。

 心から植物に有難う。来年もこれに懲りず、きっと家庭菜園を実践するのだろう…。

 2021/08/06 #108