小松弘子のブログ

やさしいエッセー

恋 恋 恋よ来い

 女性にとって「恋」は永遠に追い求めてみたいテーマの一つだと思っている。私自身この年になっても、この「恋」に憧れているのは事実だ。新聞や雑誌、テレビ欄には毎日のようにニュースとして、また様々な物語に作られて目に入ってくる。

時には危なっかしい事件にもなり世間を騒がすこともある。そして恋愛に発展するといよいよ話がもつれ、ややこしい話になる場合があるのだ。反対に爽やかな「恋」もある。最近話題にされている皇室の眞子様の「恋」だ。若い世代の自由な発想に驚くけれど、大多数の国民は心から拍手を贈りたいと思っているだろう。

 友達同士でお茶会の後、必ず出てくる話題には「健康に関するもの」、「薬の話」、「家族のこと」「老後の生活」、そしてお喋りの最後に盛り上がるのは「恋」の話だ。

一番年上の人でさえ若かった頃の初恋を懐かしみ本当に嬉しそうな幸せな顔になっている。その話を聞いている皆も一瞬にして青春時代に還れるのだから、いつまでも女性にとってやっぱり「恋」は魔法の言葉かもしれない。

源氏物語』に登場する数々の女性達も、現代に生きている私達も「恋」に関しては全く同じ感情が流れているみたいだ。生きた時代は違っても女性独特の本能は変わらない。しかし、昔は夫に家に黙って仕える女性が良しとされ、美徳ともてはやされた感がある。哀しい時代だったと思う。

それに比べると欧米では女性の地位が早く見直された。

 全世界で永遠の記憶に残る、マーガレット・ミッチェル原作の不朽の名作『風と共に去りぬ』のヒロインであるスカーレットの生き方は凄い。とても真似はできないが私は頼もしくて好きだ。物語の主人公スカーレットは、心に決めていた男性アシュレーに失恋して怒り悲しんでいたが、彼の婚約者のメラニーを助け、激動のアメリカの開拓時代を強く激しく逞しく生きていく女性だった。失恋にめげず自分に打ち勝っていく姿に感動した。

 今も世界中で絶賛されている映画で、特に女性の心を掴んだ物語である。ヒロインのスカーレットの幼い恋から大人の恋に目覚める生きざまに共感した人が多いだろう。繰り返し映画を見たが、その度に新しい発見があった。私なりに原作者の心情に少しでも触れることができて良かった。

「恋や恋」、そもそも「恋」とは何か? その情熱は一時的に燃え上がるものであり、ある時期が過ぎれば花のようにしぼんでしまうらしい。それが「愛」になり「恋愛」に変わる場合がある。「恋愛」も「恋」と同様に散ってしまうもので、やはり人間の移ろいやすい感情を反映させるものらしい。

 女性作家のおおかたの先生が、人生死ぬまで「恋」をしなさいと推奨されているが、普通の女性にとっては絶対に無理だと思われる。いろんな条件が揃っていても敬遠してしまうのがおちだ。このあいだも友達同士でお茶会をした時、いきなり「恋」の話が出てきた。

「あのね、テレビで見たんだけれど、「恋」は何と二秒で始まるものだって。本当かしら」

「わー、本当に。あなたはどう思う?」

「いきなり私に振ってこないでよ。人それぞれだし、何とも言えないわ」

 私はその時その通りだと思ったが、照れくさいのでごまかした。女性にとって「恋」はいくつになっても麗しい存在だ。いつまでも若い心を失うことなく、楽しい人生を送りたいものだ。

「恋 恋 来い」夢の中で探そうーっと。

終わりに、私が紹介したい名言があるのでここに列挙したい。

 

土ある所必ず草あり、人棲むところ必ず恋あり。

国木田独歩

 

恋愛とは、新しい漂流の夢だ。

金子光晴

 

つまるところ、恋愛は本能である。

田山花袋

 

日本名言名句の辞典より