小松弘子のブログ

やさしいエッセー

クラウドファンディングとは

七月初旬から九州全体に、次々と梅雨前線が活発になり、例年にない大雨を降らせている。

 数日後には四国、近畿地方、東海地方にまで豪雨となった。新型コロナ騒動が治まらない中、今度は待ったなしの災害の渦中に、どっぷりと日本が飲み込まれてしまった。

 ニュースで見る被災者の表情は、疲れ切っていて痛々しかった。もしかしたら、明日の我が身かもしれない程で、なんとも切ない。

 なぜ、こんな悲惨な自然災害に遭遇するようになったのか? 全国どこに住んでいても、何十年に一度の大雨が降ると、たちまちのうちに誰でもが簡単に被災者になるという。

 本当に悲しいことだが、日本各地が災害列島になってしまった。新型コロナも怖いが、今回の豪雨被害は性急に悪い結果をもたらした。

 このあいだ近くの店で食事をしていたら、後ろの席から今回の災害のことで話声が聞えた。どうも自分とは異なった考え方に、はたと疑問を持った。

 若い頃はあまり他人の意見に、反対をしたことが無かった。ところが現実に自然災害のニュースで、他人の本心が分かると、エエッツと驚かされた。今まで日本人は皆、慈悲深いと人だと信じていたが、案外とそうでもなかったことにショックを受けた。

しかしながら、よく考えてみると、被災者に同情するだけででは、手を貸さないのと同じことだ。せめて少しだけの寄付をすることの方がましだ。

 先般のコロナ禍で、色々な店が休業を余儀なくされた。そのことで店を廃業したり、命を絶った人もいることをニュースで知った。経済的な理由が一番の原因だ。要するに豪雨被害とコロナ禍も悲惨な現状は全く同じだ。

そんな中で日本でも、クラウドファンディングという明るい動きが出てきた。困った人達を相互扶助により、元気を取り戻してもらいたいと救いの手が差し伸べるというものだ。

私はクラウドファンディングというものを知らなかったが、ある日のこと息子が、

「お母さん、クラウドファンディングって、知ってる?」

 突然に言った。

私は何か意図があるのだろうと、

「エエッツ、何のことか分からないわ。どういうことなの? 話してみて」

 と、息子の顔をまじまじと見た。

「実はなあ、いつも行っている喫茶店のことなんだ。ネットで何気なく見ていたら、やっぱりコロナ禍で寄付を募っていたんだ」 

「ふーん、それでどうしたの? 寄付をしたのね」

「うん、クラウドファンディングという方法で、五千円の分を選んだんだ。ネットで簡単にできるよ。」

「まあ、そうだったの。」

「店を再建するために、百五十万円を目標にネットで募っているみたい。寄付した金額に応じてリターンというお返しもあって、コーヒーセットとコーヒー豆の、サービスが付いてくるらしいよ」 

 まあ息子が納得しているのだから、それ以上に聞かなかった。

 それから二週間位経って、その後の喫茶店の寄付のことを息子に尋ねてみた。すると、

「今日で、あの喫茶店は何と目標金額を達成したらしいよ! 本当に良かった」 

 息子は心から店の成り行きを喜んでいた。その後も寄付は続き、結局は百八十万円近く集まり、締切ったらしい。

 

2020/07/15 #80